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常識は疑え

公の面前で大げさに吐露することにしました。

ハドソン川の奇跡〜ヒューマンとエコノ〜

イーストウッド 映画 ハドソン川の奇跡

クリント・イーストウッドファンとして、映画『ハドソン川の奇跡』を見て参りました。

 

#この先ネタバレを含んでいます。注意!!

 

 

感想

まず、1時間38分という比較的短い時間でしたが、短い時間を逆手に取って、中だるみすることなく最後まで突っ走った構成が見事だと感じました。

物語はソーシャルネットワーク方式と言いましょうか・・リアルタイムで話が進んでいくのではなくて、主人公(トム・ハンクス)が出来事を振り返っていく方式。

すでに観客も結末を知っているので、この方式が主人公に感情移入しやすく、ベストなのだろうなぁと感じました。

ストーリーの大まかな流れは、乗客を助けたものの、自分の取った策(ハドソン川への不時着)が最善ではなく、空港で引き返して着陸する方が良かったと事故調査委員に指摘され、自分のやってきたことは正しかったのかを振り返っていくストーリー。

トム・ハンクスの演技が、迷いはあるけれども、自分の意思をしっかり持って前に進んでいるという姿勢を一貫して表現しているように感じ、映画のストーリーにあっているなぁと感じました。

映画のハイライト、自らの行いが正しかったことを事故調査委に示すシーンで、会場の全員がフライトレコーダーを聞くシーン

バードストライク発生後のコックピット内の208秒を(多分)ノーカットで流すシーン。危険の中を冷静に突き進んでいく2人の男。ボイスレコーダーを聴き終わった後に機長が副機長に声を掛けます。私はこのシーンが一番好きでした。

そして、ラストシーン。近年のイーストウッドらしく唐突に終わります。イーストウッドらしく余韻を残してくれるやつです。

そしてエンディングへ。エンディングがまた素晴らしかった。実際の事故の写真と実際のサレンバーガー機長とクルー、乗客の集合シーン。人の尊厳を感じさせてくれました。

この映画は自分の中では、グラン・トリノに匹敵する良さだと思いました。

グラン・トリノ以降、イーストウッドは難しいテーマで撮り続けていたと思います。

(第六感を扱ったヒアアフター、初代FBI長官の伝記J・エドガーPTSDに苦しむ優秀なスナイパーの実話 アメリカン・スナイパー

今回も比較的最近の実際に起こった有名な出来事ということで、どう見せるかは難しかったと思います。しかしグラン・トリノ以後のチャレンジがここで成果になったのでしょうか。素晴らしい構成になったと感じました。

この映画のテーマが、冒頭に挙げたヒューマンとエコンだと思います。(行動経済学バイアスに侵されている可能性あり)

エコノとは、常に合理的な判断を下し続ける、人間とは違う生き物だということです。(経済学者のリチャード・セイラー氏が提唱)今回、事故調査委はエコノ的思考で自己調査をします。その結果、英雄だったはずの機長が疑われてしまったのです。しかし、機長は我々はヒューマンだと事故調査委に断言します。そして、無罪を証明した後、事故調査委に、あなたのおかげと言われた機長は、それを明確に否定し、副機長、クルー、乗客、救護する人がベストを尽くしたからだと言います。

これを私は、ヒューマンだからこそ為し得たことと解釈しました。

イーストウッドはこれまでも合理的でいられない人のドラマを作ってきました。

ミリオンダラー・ベイビー』では、愛弟子を苦しませたくないあまり、生命維持装置を切ってしまう苦悩のコーチを描き、『グラン・トリノ』では自ら敵に撃たれて死ぬことでカタキを撃つ頑固な老人を描きました。

いつだって人間くさい物語を作ってきたイーストウッド。だからトランプを応援しちゃうのだろうか。。

個人的にこれはショックな出来事なのですが。