常識は疑え

公の面前で大げさに吐露することにしました。

希望の女神「二階堂ふみ」は蘇る

マン島へ行こうとしていたのに、コロナウイルスの影響でTTレースは中止となり、行けなくなってしまいました。

まぁ僕の場合は生きていれば、また来年があります。(来年ダメなら再来年)その一方で、今を生き延びなければ(文字通り+資金的に)ならない人がたくさんいて、心苦しいばかりです。

ただ、皆が我慢を強いられる苦しい日常の中で、自分の中で「救われているなぁ」と思ったのが、朝ドラの「エール」です。基本、朝ドラはハッピーエンドで終わるので、(一部例外はある)どの作品が今の時世に流れていても、それなりに良いとは思うのですが、この作品は過去作よりも、話としても映像としても力強くあると思いました。(僕はNHK関係者でもN国党を悪く思う者でもないので悪しからず)そして何より、キャスティングが素晴らしいと感じました。

特に言及したいのが、二階堂ふみです。彼女は園子温監督の「ヒミズ」で、ベネチア国際映画祭の最優秀新人賞を受賞しました。「ヒミズ」は、原作の絶望的なラストシーンを希望を感じさせるシーンに変化させることで、賛否両論ありましたが、僕は肯定的に受け止めています。

その理由は、園子温は映画を東日本大震災と結びつけるという、これまた賛否両論が起こる演出を施しました。その結果、震災後のラストシーンを絶望的なものとする訳には行かなかったのです。そして、絶望を希望に引き上げるピースとなったのは、二階堂ふみだったのです。ヒミズでの二階堂ふみは、若々しく、辛い状況にも心折れないポジティブさを持つ女性である茶沢さんを演じます。同じクラスの不思議な少年「住田くん」が気になり、アプローチを続けます。しかし、住田くんは、母親には自分を置いて逃げられ、父親はとんでもないクズ人間(よりによって朝ドラでは音さんの父光石研!)で、自分の尊厳を踏みにじる言葉をかけられた衝動で、住田くんは父親を殺します。

父親殺しを知った茶沢さんは、住田くんに自首をさせ、辛い中でも生きることで、希望への道を歩かせるのです。(原作では絶望した住田くんは自殺する)

そして今回のエールは、まさに茶沢さんが絶望下に置かれた世界を元気付けるために帰ってきたと僕には思いました。

ヒミズの時の初々しさはそのままに、成長したところも見せながら主人公の裕一(ヒミズの住田くんも下の名前は祐一)の灯火消えそうな夢を、力強く支え続けます。

園子温二階堂ふみに託した復興への希望を、奇しくも8年後、思わぬ形で二階堂ふみは再度復興への希望として、蘇りました。

彼女の演技が日本社会復興への灯火として輝き続けることを願うばかりです。


映画「ヒミズ」予告编