常識は疑え

公の面前で大げさに吐露することにしました。

Nine Black Alps

今回は、自分が大学生の時に好きになったバンド「Nine Black Alps」について書いていきたいと思います。

彼らはイギリス出身で、メンバー全員がソニック・ユースエリオット・スミスのフォロワーだったようです。

そしてこのバンドの持つ音像は、グランジオルタナティブロックの中心にいたニルヴァーナと、エリオット・スミスを合わせたような音を持っており、力強くも繊細な曲が多く、フロントマンのサム・フォレストの作曲能力には目を見張るものがありました。

彼らは2005年に1stアルバム「Everything is」を引っ提げてアイランドレコードよりメジャーデビューします。その3〜4年前には、The StrokesThe White StripesThe Vinesといった、新世代のガレージロックバンドに注目が集まっており、Nine Black Alpsにも注目が集まる要素がありました。

そのデビューアルバムを聴いてみると1曲目「Get your guns」は硬質なギターがゴリゴリと響き渡り、力強さを感じさせるものでした。そして、その力強さを保ったまま最後の曲まで突っ走るという、とても完成度の高いアルバムでした。


Nine Black Alps - Everything Is (1/3)

 

特筆するべきは、力強さを持ちつつもアコースティック(エリオット・スミス的要素)の曲を合間に入れており、ギターにディストーションがかかっていなくとも、曲は素晴らしいと感じさせてくれる所でした。

このデビューイヤーでは、「世界制覇を狙えるバンド」といった音楽雑誌の評価があったり、SONIC MANIAで来日公演を果たすなど、新人として充分な評価を得ることができました。

続いて、彼らは2作目に取り掛かり、2007年に、2ndアルバム「Love/Hate」をリリースします。硬質なギターサウンドは前作よりは鳴りを潜めたものの、アコースティック要素が強くなり、各曲に哀愁や深みが増していて個人的には前作を超える出来だと感じました。


Nine Black Alps - Everytime I Turn

しかし、この2ndアルバムはセールス的には相当振るわなかったようで、アイランドレコードからは契約を切られてしまいます。

当時のイギリスはニューレイブ(ざっくり言うとロックをダンスミュージックよりにエレクトロでテンポを早くしたジャンル)全盛期であり、時代に乗らない音を鳴らしていたNine Black Alpsへの注目度はほとんどないに等しかったのです。

しかし、メジャーを切られた後も彼らはライブ、楽曲制作を続けて、2009年秋にインディーズから3rdアルバム「Looked out from the inside」をリリースします。このアルバムはほとんど自主制作のような形でリリースされており、日本でCDを買うことは難しく、未だに買えないような感じだと思います。

自分はNine Black Alpsの公式サイトから音源をダウンロードして手に入れることができました。

このアルバムのジャケットはまるでバットマンの世界のようなもので

アルバムのタイトルもメジャーから切られたこと自分たちを揶揄したようなタイトルだと感じました。

しかし、このアルバムは、メジャーから外れたことにより、好きなように作ろうという彼らの勢いを感じさせる、過去2作よりも素晴らしい作品となっておりました。

このアルバムを端的に表現するのであれば、「ジャケット通りの音が鳴っている」

だと思います。彼らの良さである、ラウドさと哀愁がジャケットの絵の世界を鳴らして、物語を与えているような感じでした。

中でも2曲目の「salt water」3曲目の「Every photograph steals your soul」7曲目の「Fullmoon Summer」ラストの「Ghost in the city」は出色の出来だと思いました。


Salt Water


Every Photograph Steals Your Soul

Nine black alpsはその後もアルバムをリリースし続けており、幸いなことに、4th、5thのアルバムは日本でも購入できます。

しかし、個人的な評価としては、3作目がベストの出来だと思っています。しかしながら、彼らのアルバムの中では、最も知名度が低いのもこのアルバム。。

直近2枚のアルバムの音が自分好みではなかった為、最近は彼らの曲を聴く機会は減っていたのですが、ストリーミングのアプリをApple musicから Amazon musicへと乗り換えたタイミングで、「Looked out from the inside」がストリーミングで聴けるようになっていたのでした!(しかもHD音質で)

90年代のグランジオルタナティブロックが好きな人、エリオット・スミスが好きな人は一聴の価値ありだと思います。

 

ちなみに、Nine black alpsは、ペンギンが主人公の3Dアニメーション映画「Surf's Up」へ楽曲「Pocket full of stars」を提供しており、このアコースティック曲は、映画ファンからも評価が高く、隠れた人気No.1ソングとなっているようです。


Surf's Up soundtrack: Nine Black Alps - Pocket Full Of Stars